顔の良い男が好き

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遙か7 阿国ルート感想~願いと幸い

遙かなる時空の中で

天の玄武・阿国ルート

 

すっっっっっっごい話だった…

この手のエピソード、再会系って今も通じるのか……再会系って設定的に遙かだと無かったと思うんですが(将臣は違うだろう)いやー上手い。そしてコーエー織田信長大好きだってわかったよ!わかったから!

阿国ルートの前後にやった長政・武蔵ルートとは全く毛色の違う切ないシナリオだった。世を儚むいにしえの天の玄武だった。

正直1周目で阿国の本名が出たときに興味本位でググってしまい、その正体を知ってしまった。それでも個別ルートは十分驚かされたし楽しかった。史実わかんなくてもググるのやめよう!マジで!

普段は凛とした優しくて強いお姉さんとして振舞っている阿国が、本当は過去の辛い経験に囚われ続けているか弱い美丈夫だった…そこまでは普通だが、彼のあまりにあまりな真相には「そうくるかー!」と思わず膝を打った。そうだよね、やっぱ明智と織田の話はコーエー的に外せないんだ。

そう、阿国の正体は謀反人として討たれた明智光秀の息子・光慶で、織田家の娘である主人公とは許嫁で幼い頃に何度も遊んだ経験があった。お互いに好いていて、良い関係を築いていた。

だが本能寺の変により、婚約破棄どころか両家の間には壮絶な因縁が出来てしまった。なお姫(=主人公)は姿を消してしまうし。その後、明智光秀が討たれたのち、父の遺言を受け止め、一時は一族再興のため努力しようとしたこともあったが、今は「阿国」としてかりそめの姿で生きている。「阿国」でいるときは明るく前向きでいられる。

だが燃え盛る坂本城で聞いた父の最期の言葉や、自分を守って犠牲になった家臣たちの姿が毎日のように夢に出て苦しんでいる。

戦が嫌いで、どうして人が死ぬのだろう…と常に悲しんでしまう純粋で脆い心の持ち主。死にかけた小鳥にも心を痛めて泣いてしまうほどに。一族再興を願った父の言葉を叶えようと思っても、心優しい阿国の性分には合わないのだ。

遙かで女装キャラというのが目新しすぎて全く何も想像していなかったし、とても人間的に完成されているキャラクターだったので、まあ何かあるんだろう…????程度に思っていたのが予想を上回るすんごい設定だ。

 

いやしかし、阿国ちゃん、よく泣く!一族の話もあって、3の敦盛を思い出してしまう。世を儚んでいるのは1・2に近いけど。天の玄武は儚い担当だが、阿国ちゃんの儚さったらすごい。あと女装と男装のギャップも良い~美しい。

この阿国ルートの良いところは、そんな泣き虫で弱くて優しい心を持った阿国のことを神子や八葉が絶対に否定しないところだ。あんまり他の八葉は関わってこないのだけど。でも幸村と兼続は良い理解者だったんだなと思う。

強くなれ!とか前向きになれ!なんて言わない。そのまま、阿国が生まれ持った優しさと、そう生きたいと願う気持ちを阿国自身が受け入れ、許すことで彼の真の強さが生まれる。

ひょんなことから再会を果たした実姉の細川ガラシャ石田三成によって人質に取られることを拒み、自害しようとしていることを知った阿国はようやく自分の願いと向き合うようになる。自分の姉として、ガラシャには生き抜いて欲しいと。誰にも死んでほしくない阿国の心からの願いだ。ここは泣いた。よかった……。

遙かはキャラクターのバックグラウンドと現在をしっかり描いた上で、どう現状を打破・成長するか、もしくは自分を許す・受け入れていくことで物語が展開する。それは主人公も同じで、ふたりで前に進んでいこうとすることで未来が見える。

阿国ルートはその過程がとても丁寧に描かれていて、過去を断ち切るのではなく全て受け入れたうえで阿国が望む生き方を手に入れる。明るく自分らしく生きるためなら、本来の姿を偽っても、性別すら偽っても、それで救われるなら全然オッケーじゃん?!という、単純なようですご~~~~く難しくて深い結末を迎える。

最後、エンディングシーンのやりとりで、昼間は阿国という女性の舞い手として振舞いながら、夜は男として生活することを他人からしたらおかしいのだろうと阿国が語る。

だが、主人公は現代ならば現実とSNSで振る舞いが違う人もいるし~なんてことを例えに出す。確かに戦国時代という怒涛の時代を生き抜く男としては特殊かもしれないけど、でも、そんな生き方って今や誰もがやってることなんだ。

それで悪いほうに行ったらもちろんダメだけど、阿国のように舞い手としてたくさんの人々を喜ばせることができて、阿国も生きやすいなら良いじゃん!あ~すごい。納得。

このルートで出てくるワード「願い」と「幸い」は今までの天の玄武に通じるものがある。

まさに阿国が「願い」と「幸い」を手に入れるルートだった。