遙か7 宗矩ルート感想~髪のひと筋までも
地の玄武・柳生宗矩ルート
泣いた泣いた
そして2みたいな話だ!と大変テンションが上がりました。2が好きなので。影の薄かった白龍がやっとここで存在感を見せてきたけど、まだ何かあるんだろうな。そういや他のルートって白龍全然出てこないまま人力で終わったな……。
見た目と隠密で剣士っていう設定で5の高杉みたいなキャラを想像していたら全然違った…5だと高杉推しなので。全然違う!泰明+泰継+リズ先生だ!ずるいやつ!
クールで人当りキツい系なのかと思ったら、クーデレ赤ちゃん(CV安元洋貴)だった。こいつも好きとか平気で言ってくるし、でも武蔵よりちゃんと色恋について知識がありそうだ。武蔵の無知な「好き」じゃなくて、ちゃんとした成人男性の「好き」である。なんて恐ろしい男だ。
鬼という設定とターラの存在に、まあまあこういう話なんだろうなと思っていた想像通りの話だったんですが、関ヶ原の合戦がこうも絡んでくるとは。
難しい言葉とか戦国武将の名前が立て続けに出てくると混乱するので、テキストを理解するのにものすごく時間がかかった。戦国オタ天野五月が生き生きしていたルートでもある。
しかも織田が徳川につくという史実と違う動き。他ルートも長政が根回しして岐阜城と織田は犠牲も少なく済むのだけれど、これはハッピーエンド感が強い。神子をうまく立ち回らせるためにしかたないのだろうが、ええー!って思っちゃうよ。
しかし宗矩自体にも萌えたのだが、わかっていたけどターラが辛すぎる。
1・2に登場したシリンを思い出さざるをえないセクシーで強くて厭味ったらしい鬼の女、ターラ。
この時代の鬼は田舎のほうに行けば遠い血を引く人間たちが暮らす集落がよく存在する、くらい人間界に馴染んでいる。鬼たちも能力自体はかなり弱まっていて、人間として生きていく道を選んだ者のほうが多いらしい。
宗矩とターラが生まれた柳生の庄は貧しく、農作物もほとんど収穫できない不毛の地。
ターラは幼い頃、その美貌から豊臣秀吉の側室として差し出されそうになった経験がある。その出来事をきっかけに庄を飛び出し、豊臣家をはじめ全ての人間を強く怨むようになった。逃げ出す際に助けたのが宗矩で、素足で山道を走っていこうとしたターラに草鞋を与え、見逃した。
一方の宗矩は貧しい故郷を守るため、徳川家康の元で隠密として活動している。
ターラは人間に従う宗矩のことをひどく嫌い、領地を守るため自分を差し出そうとした柳生の庄の人間のことも怨んでいる。
このターラが実に狡猾な女で、鬼としての力も強く執念深い最高の敵キャラだった。
しかも、シリンにとってのアクラムのように心の拠り所すらない。それゆえに人間への憎悪がターラの生き甲斐となっているところがあまりに辛い。
宗矩はそんなターラの姿を見て、自分が彼女を逃したせいで人々が怨霊の被害に遭い、ターラ自身も苦しんでいるのだろうと悔いてしまう。
いざ戦いになっても、宗矩はターラに対して本気が出せない。そんな宗矩に付け入るように容赦なく陥れようとするターラ。
ここの関係性がヤキモキしながらも、最終的に超泣ける終焉を迎える。
ターラって多分、宗矩のことがずっと好きだったんだろうなあ。
好きだったからこそ、憎たらしい人間に尽くしている宗矩のことが許せなかったのだろうと思うとあまりに辛い。
なんだかターラのエピソードが良すぎてターラの話ばかりになってしまった…
宗矩は主人公との関係が深まるごとに優しい一面が垣間見え、周囲からの評価も変わる。家康がめっちゃ良い人だった~!南光坊とか出てきたけどアイツなのか…?
糖度も高いしやたら露出スチル(notお色気)が多いのが気になった。
主人公との恋愛も政治的なエピソードも細かく描いた上で、宗矩の心の動きが綿密に書き込まれている。さらにそこにターラの悲壮な話をがっつり組み込んできて、史実の人物もたくさん出てきて、めちゃくちゃ読み応えのあるルートだった!プレイ時間は他とそう変わらないのにすごく長く感じた。
一族と向き合いながらも「自分のために生きる」という点が対の存在である阿国ルートと共通していて良かった。
エンディングに至るまでの話も、宗矩の苦労が報われ、主人公へのひたむきな愛も感じられ、神泉苑で神子が戻ってくるというアレもあり、大変盛り上がる流れだった。
タイトルに書いた「髪のひと筋までも愛しい」という言葉がとてもツボに入った。遙かのエンディングポエム相変わらず最高~!
地の玄武っていつも気合の入ったシナリオをぶち込んでくるイメージだが、今回もそうだった。満足。