顔の良い男が好き

2次元も3次元も

遙か7 兼続ルート感想~愛と義のジャガイモ

遙かなる時空の中で

地の白虎・直江兼続ルート
 
いやーーーーーーーコーエーって西軍大好きなんだ!!!!!あいわかった!!!!!!
シナリオに込められた執念がすごい。
並々ならぬ何か熱くほとばしるものを感じる。
これ西軍2人をやりたいがために作ったゲームでしょ。幸村はまだだけど。
わざと西軍を残した私の方針はあながち間違いじゃなかった。
 
兼続は見た目や設定だけではあまり気になっていなかった。それが初登場から主人公を猪に例えたり、試すような発言をしたり、相方の長政と高尚な嫌味を言い合ったり。なんともこう、シリーズ初期のつっけんどんな八葉たちに青春を捧げた私には、長政と同じくグサグサ刺さるキャラクターであった。
語尾につく「だぜ」の言い方がクセになる。
なんだオラオラ系か?と思ったら、漢詩とか和歌を使って会話をしてくる。地の白虎だ。遙か歴はそれなりに長いが、相変わらず分からない。
気まずさMAXの茶会に参加させられたりもして、雅な雰囲気を楽しめる。
対兼続の主人公は他のルートと比べ一段と知性が高い気がする。
 
この兼続ルート、今作の特徴である、現代と戦国時代を行き来でき、現代の色々な物品を八葉にプレゼントできるというオプション的設定がとても生きてくる。
他のルートだとまあ、人によっては1や2にあった手紙と花くらいのちょっとしたプレゼント程度なのだが、このルートでは最重要項目のひとつになる。
 
兼続が管理している米沢は元々農業が盛んな地域だが、寒冷地のため稲作が発展途上で、冷夏になれば領民たちはすぐ食べていけなくなってしまう。長い冬が来れば仕事は無くなるし、人々は厳しい生活を送らざるを得ない状況が続いている。
兼続は常々、いかに平民たちが食いっぱぐれないかということを考えていて、さまざまな産業に取り組んだり、仕事を作る努力をしている。
――と、なんだか歴史の教科書で学んだような内容が兼続の口から語られる。
そこで現代に帰った主人公は、八葉たちがポテトチップスにハマっていることをヒントに(?)兼続へジャガイモの種芋をプレゼントすることを思いつく。
ジャガイモは腹持ちが良く保存にも適し、土の養分が少なく気温が低い環境でも育つたくましい植物である。これなら米沢でも育つのではないかと踏んだのだ。勉強になる。
で、なんとなくプレゼントしてみたら、もう泣きそうに喜ぶ兼続。
ジャガイモをあげたら天女って呼んでくれた。地の白虎だ!!!!!
褒めそやされ、さんざん無礼な態度を取ってきたことを詫びる……とまで言ってくるから驚きだ。紳士的な男、直江兼続
「俺に『尽くしたい』と思わせてみな」とか上から目線で言っていたのが「つ、尽くさせてくれ~!いや、尽くさせていただく!」に変わる過程が地の白虎そのもの。
そうしてジャガイモでイチコロにしたら、もうこちらのものだ。
兼続から求婚され、世情を鑑みて結婚こそ先送りになるが主人公は米沢まで付いていく。ここで個別ルートが始まる。なんてハッピーな始まり。兼続も主人公もルンルンである。マジで嫌な予感しかしなかった。

そこから農業パートがしばらく続く。
いつか黄金色の稲穂の海が見れたら良いね~ジャガイモ楽しみだね~みたいな、兼続のいかにも「これが地の白虎だ!!!!」といわんばかりの風流さからは想像もしなかった本当の意味で泥臭い話が展開されていく。
ここらへんで長政の「ふわラテ」のごとく「ジャガイモ」というワードが常にチラつくようになる。そんなとこまで対象的じゃなくていいよ!

しかし、そんなほのぼの農業生活も束の間。
兼続が建設を進めていた新しい城について、謀反の予兆ではないかと徳川家康が疑いをかける。
この辺、今までやった東軍および中立派(織田方というのか?)では文章で流すだけだったけど、大きな出来事だったんだよなぁ。
ここで満を持して登場する「直江状」。これがきっかけで奥州はおろか国全体を巻き込む大きな戦が起きることを知った主人公は、史実と異なり、なんとか上杉が上洛するよう根回しする。
そしてカピタンを信用するなとも徳川家康へ忠告する。
ここらへんから西軍が敗北する歴史を変えようという方針に話が転換していく。
五月の知識と主人公のスマホや龍穴を駆使した臨機応変な対応で歴史が変わった――と思いきや、そう上手くは変えられない。
上杉が上洛する旨を記したはずの直江状を読んだ徳川家康はなぜか激怒し、ついに会津で戦が始まってしまう。
直江状を届けるため京へ来ていた主人公は米沢へ帰るわけにいかず、岐阜城に身を寄せる。

やがて岐阜も戦に巻き込まれることになるが、ここで岐阜城を絶対落城させまいと五月が意気込みまくる。
兼続も心配して岐阜まで来てくれた。七夕の夢逢瀬は遙か的ロマンチズムの極みである。
そして現代のツールを駆使しまくったとんでもない作戦が繰り広げられていく。こういうif映画ありそう。コーエーはめちゃくちゃ楽しそう。
五月と兼続の知識と発想力、監視カメラや時計を使った効率的な戦闘。
これをやりたくてあの現代と戦国時代を行き来できる設定を導入したんだろうか……こんなにもこの設定が生かされるなんてチートすぎる。
戦の最中、おにぎりを食べながら城内に設置した監視カメラのモニターを確認する龍神の神子の図が面白すぎる。通信は無線じゃなく式神なんだな。
モニターの映りが悪いから霊力でなんとかならないかな?って相談を持ちかけられたであろう五月は、果たして対応できたのかが気になって仕方ない。
しかし結果として、岐阜城は守れたものの史実では落ちなかった大垣城が落ちてしまう。コーエーの鬼。歴史を変えようとあがくのは燃えるけど、実際大きく変えちゃうのは違うのかな、コーエー的に。私もそう思う。まあ遙か3もそんな感じだったし。龍神の神子とて巨大な人の意志には介入できない。
そして関ヶ原で開戦。
カピタンが操る怨霊に備え、石田三成の軍勢に混ざる主人公と兼続。
ここの長政と剣を交える兼続が最高~~~~!と心のなかで叫んだ。最高だった。最高じゃないですか?最高ですよね。スチルもあるなんて太っ腹すぎる。
関ヶ原では、史実なら寝返る小早川秀秋にも、徳川に先んじて手を打っておいたから勝てる――と思いきやカピタンのせいで結局寝返ってしまう。
そして押される西軍。歴史は変えられないのか……コーエー……敗軍の哀しさがないもんな……。

このルート何が上手いって三成(=五月の兄・三鶴)の扱いがめちゃくちゃ上手い。五月ルートより上手いしおいしい。死んじゃうけど……
あ~これ五月を後回しにしてたらそれはそれで推理できて楽しかったのかな……でも、彼らが双子だと知っていたからこそ泣けた話でもある。
阿国の話も匂わせるだけだが回収するし、兼続以外のフォローもすごいんだよな~悪人にしかならなさそうな長政もちゃんと良い男に思えるし。
五月は三成と会わないままなので、彼が兄だとは知らないんだけど、そこがまたやるせない。
あの五月が心神耗弱していた描写は、三成(三鶴)が五月の力を補っていたか、ふたりで完璧な星の一族だったとかそういうことなんだろうか。
せっかく関ヶ原の戦場から逃れて生き延びた三成が、カピタンに惨たらしく殺されてしまう展開はあまりに辛いし酷だ。今回、敵の印象がルートによってかなり変わる。
三成を搬送するときや、彼の死を知ったときの兼続の声の演技がもう本当に本当に素晴らしかった。

辛かった中~終盤を乗り越えると、最後は大団円。
黄金色の稲穂の海を前に、農業への熱い想いを語る兼続。ジャガイモ栽培も順調で嬉しいよ。
これから先、何十年何百年先の民のためを思って農業を続ける決意表明をしてくれる。どんな恋愛エンディングだ。でもなんだか泣けてくる。
いま私たちがおいしいご飯を食べられるのも、この時代あるいはもっと昔から続く人々のたゆまぬ努力の賜物なのだ。
ありがとう兼続、おいしいお米が食べられて、私、幸せ者だよ。
七緒と幸せに暮らせよ。