顔の良い男が好き

2次元も3次元も

遙か7 幸村ルート感想~そういやこういうことをする会社だった

遙かなる時空の中で

天の青龍・真田幸村ルート

 

あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

つらい

 

コーエーにこういう癖があるのを、相当こじらせているのをすっかり忘れていた。

だって宗矩も五月もああだったし……幸村エンドを迎えたフォロワーが虚無みたいなツイートしてたけど、ええ?どこどこ?どこがそんな?みたいになっていた。途中まで。

まさかそんな、真田幸村真田幸村たる死にざまを ネオロマ

いや そうだ コーエーは きっとそこが

 

わたしのいちばんすきな真田幸村

 

なんだ……

 

振り返ると、シリーズで初めて史実の人物が大々的に出るようになったのが「遙か3」。

判官贔屓」という言葉が生まれたほど、悲劇的なヒーローの象徴である「源義経」と「源平合戦」がモチーフになった。

八葉には源九郎義経武蔵坊弁慶梶原景時平敦盛というまあまあまあまあワケアリの顔ぶれが揃っている。

これは悲劇です!わかってるよね!?が前提なのだ。

だからこそ「3」ではそれらの悲しい運命を経験したうえで「時空跳躍という特殊能力」を得た「人間としてのヒロイン・春日望美」が「運命を上書き」して、最終的に全部救済する、一人も絶対殺さないことが明確な目的とされたゲームである。

一方で、キャラによっては(ほとんど)史実だと途中で悲運な死を遂げるので神子が力づくで守ったあと現代エンドになったりもした。

最終的に時代の流れ、大きな潮流、人の生き死に、殊に「生きている人の意思」は龍神にも塗り替えられないっていう(平氏が負けるとか義経が頼朝に討たれるとか)歴史モノに向き合ってきたコーエーだからこそなのか、確固たる信念みたいなものも感じられた。

でもバッドエンド以外で死ネタが入ることは無かった。そこが3なんだけど。むしろ全員一度は死ぬんだけど。

そんなユーザーの信用を裏切ったのが「遙か4」の「葛城忍人」である。

史実ではないが、トゥルーエンドで忍人のみが死ぬという結末を迎える。

いやでも忍人の場合、死亡フラグがキャラ設定の時点でビンビンだった(なんたって使用武器の名前が「破魂刀」)し、なんとも取れる終わり方だったんだよ……多分……

4が出たあと「忍人エンド」という言葉は遙かユーザー内で察してくれみたいな意味となった。

そして、5だとこれまた幕末の悲劇といえばな新選組沖田総司をはじめ坂本龍馬高杉晋作も、どうやっても死ぬパターンが組み込まれる。

でもこれも3ほどじゃないがタイムトリップ要素があって、救うこと前提だった。

死から逃れられなかったのもいたけど。

死ぬもしくは近々死ぬ!でも、神子と生きて添い遂げることはできる。

5は史実の人物も多く、幕末というだいたい悲劇が結びつく時代設定で、死と隣り合わせ感が八葉も神子も強かったな。そういえば。

そうして、3の話って3の設定があってこそなんだよ、というのを4・5を通して教えてくれた。というかわかっていただろう私……と幸村エンドを見たあと思い出しました!!!!!

 

そして次の史実モノ、7。

戦国時代。まあ人は死ぬんだろう。

でも、真田幸村って名前は知ってるけど、どういう死に方をしたんだ? と思ったけどウィキペディアは見なかった。知ってたら、どう持っていくんだ……とさぞハラハラしていたことだろう。大袈裟じゃなく私は戦国時代に関して無知だった。

というか、一度選択肢を間違えた私はね、見ていたんですよ。

神子として戦うことを辞めたエンド。関が原のあとで大坂で戦が起こって、上田にいた幸村が主人公を置いて挙兵に参加して、討ち死にするバッドエンドを。

だから、これ(史実に近いであろう死に方)を敢えてバッドエンドとして入れてくるなら、トゥルーで死亡エンドはないんだな? と確信にも近い思いを抱いた。

しかし、その後、成功選択肢を選んでも、どうにも生きて上田で暮らす未来より、神子も幸村ももろともどうにかなる結末へのフラグのほうが強かった。

ううーん、でも五月と宗矩でアレ*1が許されたなら、五月ルートの石田三成*2がああなったなら、幸村もそうなるのが順当な流れでは?

まあ全部、そんなことあってほしくないっていう、願望だったんですけどね……

 

でも、兼続も長政も病死なんだと思うと、遙か的文法でいうなら彼らの運命には神子の入る余地がある。

幸村の運命には神子、ひいては龍神の介入が許されない……なんたって人の生き死にだから。戦という大きな人の思いと時代の流れだから。

 

ていうか解釈を間違えていたのは私なのだ。

遙かは別に、悲壮な運命を変える話でも、八葉と恋愛する話でもない。

単なる、世界を救う神子と八葉の話なのだ。

その八葉がたまたま恋愛対象になり、たまたま悲運の死を遂げた。

神子(と呼ぶべきなのか)は使命を全うし、世界を救った。

「その恋は運命を越える」という遙か7のコピー。

運命を変えるわけじゃなく、越えるのだ……過酷な運命を越え、結ばれる。

幸村と七緒は、まさにそれを体現した。

いや、他の八葉も、あえて史実をあまり変更せず、史実の枠のなか――彼らの運命を越えた先で、七緒と結ばれたのだ。

そしてこの幸村エンドは、決して遙かシリーズの中での特異例ではない。

神子が世界を救うことを諦めたことがあっただろうか。

彼女たちはいつだって異世界のために尽力した。いや、他でもない私自身が、そうしてきたじゃないか。

 

幸村ルートは、恋愛面とか家族の話とかもすっごい丁寧に描かれていて満足した。告白もちゃんとあるし!(遙か7の良いところ、ちゃんと愛の告白がある!)

言いたいこと、うれしかったこと、たのしかったこと、たくさんあります。

あ~~~~~~でももうだめ、全部持っていかれた。

龍神の神子――龍神としての使命を貫き、人として生きる道を捨てても、世界を救った天野七緒。

大坂の陣で、豊臣への忠心、三成との約束、彼にとっての義を貫き通し、討ち死にする真田幸村

そのふたりが、再会する。ふたりで見ようと約束した、青い花が一面に咲く天上の地で。

あんまり、あんまりだ。ひどい。でも、これしかないんだ。

真田幸村という男の一生を書き切るには。

天野七緒という少女の使命と決意を書き切るには。

ふたりが望んだ、あたたかくて優しい世界は、天上の、誰にも分からないどこかにしか、ふたりにしか分からない約束の場所にしか……なかった……

幸村が生き延びて、七緒が龍の姿から戻ってくるっていう結末じゃ、ふたりの本当に望んだ世界じゃないんだよ。

やるべきことをやって、なんの悔いもなく生きるにはこうすることしかできなかったんだ……そして、真田幸村という男の人生は、大坂夏の陣で義を貫き、果て、日の本一の武士と呼ばれるほどの武勲を残したことを、どうしても、絶対に書かなきゃならなかったんだ……歴史を変えることなんてできない。そこにある運命を越えることしかできない。

もし七緒に望美のような能力があったとして、幸村はそれを良しとしないだろう。

なんたって、義を貫き通す男だから。

 

ああ~~~~~~~マジで何も言葉にならない。しんどい。

 

 

でもこの遙か7、ルートによってラスボスが変わるどころかそのボスの人間性のイメージも変わるし、ピックアップされる要素も違うし、全部終わるとぴったりパズルのピースが嵌る感覚がなんとも心地よい作品だった。

あとは大団円を見るのみだがアッサリらしいので、とりあえずこの幸村ルートの衝撃を飲み込んだら、ゆっくり楽しもうと思う。

*1:龍神となった七緒が八葉の呼びかけで人間に戻る

*2:五月と七緒の尽力で助け出して現代に逃れる