遙か7 長政ルート感想~ふわラテと馬と七つの童女
天の白虎・黒田長政ルート
協賛:ネスレルート
良いところはたくさんあったのだが、最初から最後まで「ふわラテ」に集中力を持っていかれてしまう。
共通部分では単なるコーヒー好きで、さすが~大人の男ね~と思う程度だったのに、個別ルートのフラグが立った途端、突如として登場する「ふわラテ」の圧倒的な存在感。
「ふわラテ」というフラペチーノとかタピオカとか、流行してる系ドリンクのふわふわしたラテの一般名称なのか?と調べたら、コーヒーで有名な「ネスレ」の商品名だった。がっつりコラボまでしていた。
なので「ふわラテ」を飲む長政の麗しいスチルまでしっかり用意されている始末だ。
主人公とともに現代の家で「ふわラテ」を飲むイベントは、さながらお昼の番組の途中に挟まるCMのようだった。番組のセットと出演者を使って洗剤とかの宣伝をするやつ。
右上に「これはCMです」というテロップが出ている。長政の右上に。
しっかり長政による味の説明があり、スティックタイプで簡単に作れてしまうという「ふわラテ」を作った神子による感想も入り、情報が短い中に集約されている。宣伝効果ばっちりである。
これ、他の八葉もそうなの? みんな「ふわラテ」なの?
長政だけだとしたら、共通部分でさらっと流すくらいの挟み方をしてほしかった。そのほうがいいじゃん。みんな「ふわラテ」大好き八葉で。スポンサー絡みなようなので、色々難しいのだろうが…
その後も事あるごとに登場する「ふわラテ」。怪しい南蛮商人・カピタンがどうでもよくなるくらい「ふわラテ」のことを考えてしまう。
終盤、ようやく「ふわラテ」の呪縛から解き放たれた…やっとエンディング…一体どんな甘い内容なんだ…と感慨深くなっていると、お、おっ、お前ーーーー!またかーーーーー!なんとエンディングスチルにまで「ふわラテ」が登場する。
あまりの事態に何も信じられず、一度Switchをスリープにして深呼吸した。ネスレとコーエーに一体何があったというのだ。(スポンサーです。ありがとうございます)
いや、カップしか見えないから「ふわラテ」じゃないかもしれない。関ヶ原の合戦以降一年以上分のストックを現代から持ってきたとは考え難い。一日に何杯か飲んでいるようだし。でもきっと「ふわラテ」なんだろうな。だって長政様だもの。「ふわラテ」くらい戦国時代に手配するよ。
ふたりの愛の証と言わんばかりの存在感。すごいや。ここまできたらもうあきらめた。
「ふわラテ」買ってこよう。
そんなふわふわ長政ルートだが、話はとても硬派で王道だった。
強くて気高い男の話。
高貴で高尚で気高くて誇り高くて偉そうで策士な立花慎之介、みんな好きでしょ!というルビーパーティーの気概が伝わってくる。
ヒノエのときから1つはこういうルートが設けられるようになった気がする。カウンセリング恋愛じゃないやつ。爽快感があって良い。
長政は気高さが突き抜けている。弱みなんてない。見せないのではなく、はなから存在しない。
武将として、大名として、はっきりとしたビジョンを持って生きている、まっすぐで気持ちのいい男だ。
だからこそ、自らが仕える主君である神子に対して、戦う意味や覚悟を訊ねてくる。
そして認められてしまえば、絶対的信頼を寄せてくれる。頼もしい。
しかし、神子としての力を認めても、それ以外の場面では神子のことを子ども扱いする長政。
まるで七つの童女だな…と事あるごとに言ってくる。しつこい。最初こそ本気で言っていた長政だが、次第にその言葉は、芽生えつつある信頼以上の感情の裏返しになっていく。かわいい。
神子に惹かれる長政はウジウジするのかと思いきや、ハッキリと恋愛はできないと言い切る。政略結婚しても長政にとって有利な相手ではないし。
長政にとって「恋」は必要なく、黒田家のための政略結婚しか意味がない。
だがそれを悲観するわけでもなく、家柄に縛られていることに苦しんでいる様子もない。だが、色々なことを諦めてきた人なのだろうな…ということが伺い知れる。
でもやっぱり好き…こんな世の中じゃなかったら、馬に乗って旅だって出来たのに、と呟く長政。せつない。
神子も同じ気持ちで、ずっと一緒にいたいと願うが長政にあしらわれてしまう。
長政のお膝元、豊前で怨霊を操る南蛮商人・カピタンの動向を探っていた神子と八葉たちだが、ついに大きな合戦へ向けて緊張感が高まる。そして織田家は石田三成側に就くことが決まり、ついにふたりは離れ離れに。
最後の日、一人長政の元に残った神子は何度か遠乗りに出掛けたように長政の馬で送り届けてもらう。
初めて馬に乗ったときは長政の背中に捕まることに必死だったのに、それがドキドキに変わり、最後は離れたくないと思ってしまう神子が切ない。
長政はそんな神子の気持ちを知りながら、厳しい言葉をかける。つらい。
ここでようやく初めて抱きしめられるという密着度の高いスチルが表示されるのがずるい。悲しくなる。
そしてついに開戦――神子が身を寄せていた岐阜城にも敵の軍勢が押し寄せ、その中には黒田の旗もあった。つらすぎる。
一体どうなるのか…とハラハラしていると、岐阜城主の秀信と龍神の神子一行に黒田軍から呼び出しがかかる。
黒田の陣中には、当然長政の姿。
本来なら降伏とともに城主である秀信が自刃すべきところだが、城を明け渡せばそれ以上の介入はしないという長政。後の処遇に関しても、便宜をはかるという。
その代わり、龍神の神子を差し出せと条件を持ち掛ける。
うおおおおお きた きた! 絶対そう来ると思っていたが盛り上がる。
肩に担いで神子を浚う長政。今までとは何かが違う。ただ強く、孤高の人だけではなくなった。この時の神子の顔がめちゃくちゃ可愛い。百万点。
その後、戦で功績をあげた褒美として、神子を家康の養子にしてもらって、ついでに嫁にする流れは4のアシュヴィンを彷彿とさせる強引さだった。(史実でも家康公の養女を正室にしているとのこと)
結婚とかもうそれ激甘デレデレEDでは?!もしかして結婚式なのか?!それはやばい!八葉みんな来たりして…と勝手にめちゃくちゃ期待したら意外と…あっさり…ふわラテ飲んでた…
期待しすぎた自覚はあるが、関ヶ原の前に別れるあたりで睦言を囁かれるイベントがもうひとつくらい欲しかった。コーヒーの話のほうが多い。私の頭の中は「ふわラテ」一色だ。
藤の花のイベントとか、鏡の縁結び守とか、細かいエピソードが愛らしくほほえましくポイントが高い。
あと肩に担がれたり抱き締められたりの定番のスチルや、温泉に入るやたらセクシーなポージングの長政ソロスチルがあったり、スチルのラインナップは満足感が高い。
あの風呂の入り方はなんだ。足から肩までしっかり浸かって温まりなさいよ。ネオロマにしてはけっこうギリギリショットだ。
温泉であやめとガールズトークしている神子は可愛かった。盛り上がる女湯へ、いきなり衝立の向こうから話しかけてくる長政。良い筋肉だった。水野十子先生は男をがっちり体型で描いてくださるのでありがたいことこの上ない。
総じて長政がかっこよく、切ないけど爽快なストーリーだった。
関ヶ原の合戦において徳川軍での一番の功労者だそうで、だからこそこの圧倒的勝者ルートなのだろう。
戦メインの派手な流れだったので、下手に糖度が高かったり、派手な結婚式だったりせず、ふたりだけでコーヒーを飲む日常がエンディングだったのも対照的でこれはこれで良いのかもしれない。でも「ふわラテ」が最後までちらついて集中できなかった…。
追加ディスクがあるなら、もうちょっと糖度高めなイベントもありませんか、コーエー…!