顔の良い男が好き

2次元も3次元も

遙か7 大和ルート感想~帰る場所、生きる意味

遙かなる時空の中で
地の朱雀・佐々木大和ルート

 

地の朱雀は私にとって常に鬼門である。

金髪……可愛い系……あんま興味ないな……適当なタイミングで攻略しないと飽きそう……と思っていると、地の底に突き落とされるからだ。

 

地の朱雀というと、少し特殊な生い立ちや立場であることが多く、シナリオもよりパーソナルな部分に重きを置かれる傾向が強いように思う。

たとえば1の詩紋は、現代ではクオーターであるがために苛められ、異世界でもその容姿からたびたび鬼と間違われるという困難に遭遇する。

2の彰紋も、東宮という立場でありながら、髪の色素が薄いというだけでいらぬ反感を買ってしまう。

「外見」という自分には何の落ち度もないことで、周囲から差別され、冷たく当たられることで浮いてしまう。その結果孤立し、苦しむことになる。

その苦しみは、敵である鬼の一族たちが抱える苦しみと通じる。鬼の一族たちが受けた迫害の有り様を現代人である主人公が垣間見ることのできる、重要な役割である。

鬼のことだけではない。龍神の神子が降臨する異世界には常に、庶民とか武家とか公家とか、さまざまな立場の人たちの、さまざまな考え方が渦巻いている。その結果として、小さな諍いから大きな戦まで、色々な対立が発生する。

時として、対立から生まれた「欲望」が、人間あるいは鬼と呼ばれる異形の者たちに、人知を超えた力を求めさせる。

この、1の頃から脈々と描かれてきた異世界の京での出来事は、現代社会にも――我々のごく身近な、体験談に近いものとして存在している。

たかが疑似恋愛するためのゲームで、ここまで「差別」とか「迫害」なんてデリケートな題材をずっと飽きることなく扱わなくても良いだろうに、ずっと、ずっと、ずーーーーっとルビーパーティーは持ち出してくる。そしてとても丁寧に扱う。

キャラクターが成長する物語を作るなら、まあ、いじめられていた過去があってそこから立ち直るというのは定番のエピソードではあると思う。

でも「遙か」にとっての「差別」とか「迫害」「いじめ」は敵である「鬼」や「怨霊」という、このシリーズの根っこであり核となっている要素がもつネガティブな側面、もしくは「正体」をより鮮明に浮かび上がらせるために取り入れられている、とても重要なテーマなのだ。とても繊細かつ丁寧な形で。

プレイヤーである龍神の神子に、それらの問題点についての強烈な輪郭を持たせるのが、時として八葉の役割となる。

今作7ではその役割を、大和と宗矩が担っていると感じた。

 

龍脈が乱れ、世界が乱れ、怨霊がはびこり、人々が困窮する。世界が滅亡へと向かうとき、龍神の神子が降臨する。

それら全てが「ファンタジーな要素」と言ってしまえばそれまでだが、なんだか最近の世界を見ていると、龍神の神子がとうとう降臨するのか……と空想してしまう。

7の文脈が1と2に近いためそれらの話ばかりしてしまうのだが、例えば鬼の存在が希薄になった3では地の朱雀・弁慶が平清盛黒龍らと深くかかわりを持ってくる。

 

何が言いたいかというと、地の朱雀って可愛い顔して闇を浮かび上がらせる重要な存在だよね、ということだ。話が長くなった。

 

さて、今回の佐々木大和ルートだが、今のところ一番泣いた。

大和の生い立ちは、現代を生きる高校生にとってはなかなか辛いものだ。

怨霊が見えてしまう体質のせいで周りから疎まれ、唯一の肉親である父親とも折り合いがつかず、すっかり孤独に生きる術を身につけてしまった大和少年。

そんな大和に手を差しのべたのが主人公の七緒である。

七緒は怨霊が見える両親と兄の五月に囲まれて育ったため、大和のことを何とも思わない。

兄の五月は地の青龍。

この図式は、なんだか1の主人公・あかねと地の青龍・天真が、後輩でいじめられっ子だった詩紋と仲良くしていたことに通じる。そういえば天真も留年してたな

だがそれで立ち直ることができるわけではない。大和の心に根差した闇は深い。

何事も無気力で、暇をつぶすために色々手を出してはみるが長続きしない。七緒たち以外の友達も作らず、ひとりで孤立することも厭わない。

自分の家に帰れば、大和のことを不気味がる父親が無言でリビングに座っている。

そんな大和が、異世界で見つけたのは剣術と自分のことを全く気味悪がることのない仲間たち。

大和はわりと最初の頃から、異世界のほうが居心地が良いなんていうことを口走る。

まあ、大好きな七緒もいるし。現代に固執している様子が全くないのだ。

しかも刀に関しては、異世界に来て初めて手にしたにも関わらずそこらへんの武士よりよっぽど腕が立つ。

刀を持つのが楽しくてしかたがない大和は、なんやかんや言いながらも武蔵の手合わせに付き合ったり、出先では阿国ちゃんの舞を楽しんだり、すっかり異世界の暮らしに馴染んでいく。

だがある日、皆がいる邸で稽古していると、突然大和の身体から瘴気が湧き上がり、刀を持ったまま自我を失い暴走してしまう。あと一歩で周囲を傷つけていたかもしれない大和は、五月からの提言で刀を持つことを禁じられてしまう。

他の七人でも十分に七緒を守っていられるし、封印もできる。そして、誰もそんな状況に陥ってしまった大和のことを責めない。

なんだ、俺がいなくてもいいじゃん、と呟く大和は寂しそうだ。ふりだしに戻ったような感覚なんだろう。

鬼の女・ターラが強襲を仕掛けてきたときも、戦いは他の八葉に任せるしかない。

だがそれは全て大和を狙ったターラの策略で、大和は追い込まれた先――洞窟の奥にぽつんと祀られていた祠の、ご神体らしき刀を手にする。

その刀は身体によくなじみ、力がみなぎる。大和はすっかりその刀を気に入るが、ある異変が起こる。それは神子と他の八葉たちが、謎の倦怠感に悩まされ、養生しても怨霊を浄化しても一向に改善されないという現象だ。

八葉たちはたちまち、誰も彼も歩くことも億劫になるほど疲弊していく。それなのに、大和は何も感じない。

その原因は、大和が手にした刀――周囲の人間の生命力を吸い取る、いわくつきの妖刀だった。扱える人間はごく限られており、刀が持つ闇と共鳴した者にしか手にすることすら許されない。

ようやく八葉として戦うことができるようになったと思っていたのに、今度は自分が周囲を苦しませていた。

そんなこと、今度こそ皆が許してくれるわけもない。

そう考えた大和は七緒と八葉たちの元を去る決意をする。

もう、こんなひどいことしなくても良いじゃん……と私は打ちのめされた。

ネガティブに考えてしまう大和の気持ちも、そんなこと関係ないと言える八葉の気持ちも分かる。一緒に戦った仲間じゃん!と思う一方、仲間を傷つけてしまい落ち込む大和にも共感する。つらい。ひどい。あんまりだ。

 

大和は終始、人間関係において臆病だ。それは大和の生い立ちが起因しているのだろう。

でも、人の輪に飛び込むこと自体から逃げていた現代での大和に比べたら、七緒や八葉たちと一緒にいたいと願い、自分がどう思われるか・皆がどう感じるかと悩む姿は、彼が成長した証でもある。

そこにそっと救いの手を差し伸べたのは、やはり七緒だった。五月もいる。今度は他に八葉たちもいて、きっとつばきやあやめたちも大和のことを思っている。

大和の活躍によって刀の妖力が収まり、八葉たちが待つ邸へ戻ろうとするも、なかなか門をくぐれない大和。七緒に強引に手を引かれ、再会を果たす。頭を下げ詫びる大和を快く向かい入れた八葉に、何で怒らないんだ?と呆気にとられる大和。もう!当然じゃん!

でもその一歩を踏み出すのってすっごく大変なことだ。苦しくてしかたない。自分で考えてるのはまだ大丈夫だけど、面と向かって拒絶されたら今度こそ立ち直れない――と思い込んでしまう。

私も、子供のときも社会人になってからも何度も経験した。でも、意外と周りの人たちって自分が思っていたより怒っていなかったりする。嫌味を言われても一瞬で終わったりする。

想像ばかりが悪い方向へ傾きすぎていて、冷静に周囲を見ることができなくなってしまう。自分のせいだと思い込んで、視野が狭くなって、ふさぎ込んでしまう。ここで逃げてしまったら、モヤモヤしたまま終わってしまう。

大和の苦しさが理解できすぎて、八葉たちとのやりとりが暖かすぎて、私はボロボロに泣いてしまった。

なんでこんな、最後でもないシーンであんなに泣いたのかはわからない。でもめちゃくちゃ泣いた。情緒不安定にもほどがある。でもすっごい泣ける。

対である宮本武蔵はまっすぐで、人を疑うことなど知らない。彼の存在は大きく、七緒にも五月にもできない「対等な友人でライバル」という立場から大和のやる気に火を付けたのだと思う。四神コンビの互いに補い合う関係だ~~~好きポイント500000点!

武蔵ルートと大和ルートの目指す場所はとても似ていて、なぜ剣を握るのか・強くなるのかという理由と、自らの生きる道を見つけることが課題となる。

大和は自分と向き合い、仲間と向き合い、居たいと思える場所を見つけた。そして、今まで逃げてきた父親としっかり話し合うことで、父親と、現代の世界と決別する。

かっこいい男だ。父親も息子に無断で子持ちの女性と再婚するから家出てけ~とか言い出すトンデモ毒親だったが、最後には大和としっかり向き合った。

大和は自分が暮らしやすい世界で、貫きたいと思うものに出会い、のびのびと生きていくことを決意した。

そんな大和の帰る場所は七緒だ。七緒が現代に帰ってしまったとしても、大和の帰る場所で心の拠り所は七緒なのだ。

七緒も残留する結末がもちろん正規エンドなのだが、帰る選択肢を選ぶ結末もなかなか良かった。

現代へ帰る七緒を想い、最後まで好きとは言わない大和。ずるい、ずるすぎる。

正規エンドの修行の道中で八葉と遭遇するたびいちいち手紙を書いて寄越す大和もかわいい。仲間大好きじゃん!本当によかったね!

 

あっ、あとこのルートのラスボスとなるターラと、協力者になったカピタンが知らないところで恋仲になっていたというオチも素敵だったな。

宗矩ルートの浄化されるターラも泣けたが、ちょっとコミカルですらあるこの終わり方。痴話喧嘩に巻き込まれただけかよ!とひっくり返りそうになる一方で、なんだかターラとカピタンがとても幸せそうにしているのを見ていたら、めでたしめでたし……と言いたくなってしまう。

これはこれで、ターラにとって救いになったのだろうな。でも宗矩ルートを終えた後でよかった。アレを知らなかったらちょっとあんまりじゃない?!と思っていたかもしれない。

 

大和の成長を見守った先祖のような気持ちになった。これからの大和と七緒の人生が、明るく楽しいものになりますようにと願わずにいられない。

遙か7 宗矩ルート感想~髪のひと筋までも

遙かなる時空の中で

地の玄武・柳生宗矩ルート

 

泣いた泣いた

そして2みたいな話だ!と大変テンションが上がりました。2が好きなので。影の薄かった白龍がやっとここで存在感を見せてきたけど、まだ何かあるんだろうな。そういや他のルートって白龍全然出てこないまま人力で終わったな……。

見た目と隠密で剣士っていう設定で5の高杉みたいなキャラを想像していたら全然違った…5だと高杉推しなので。全然違う!泰明+泰継+リズ先生だ!ずるいやつ!

クールで人当りキツい系なのかと思ったら、クーデレ赤ちゃん(CV安元洋貴)だった。こいつも好きとか平気で言ってくるし、でも武蔵よりちゃんと色恋について知識がありそうだ。武蔵の無知な「好き」じゃなくて、ちゃんとした成人男性の「好き」である。なんて恐ろしい男だ。

鬼という設定とターラの存在に、まあまあこういう話なんだろうなと思っていた想像通りの話だったんですが、関ヶ原の合戦がこうも絡んでくるとは。

難しい言葉とか戦国武将の名前が立て続けに出てくると混乱するので、テキストを理解するのにものすごく時間がかかった。戦国オタ天野五月が生き生きしていたルートでもある。

しかも織田が徳川につくという史実と違う動き。他ルートも長政が根回しして岐阜城と織田は犠牲も少なく済むのだけれど、これはハッピーエンド感が強い。神子をうまく立ち回らせるためにしかたないのだろうが、ええー!って思っちゃうよ。

 

しかし宗矩自体にも萌えたのだが、わかっていたけどターラが辛すぎる。

1・2に登場したシリンを思い出さざるをえないセクシーで強くて厭味ったらしい鬼の女、ターラ。

この時代の鬼は田舎のほうに行けば遠い血を引く人間たちが暮らす集落がよく存在する、くらい人間界に馴染んでいる。鬼たちも能力自体はかなり弱まっていて、人間として生きていく道を選んだ者のほうが多いらしい。

宗矩とターラが生まれた柳生の庄は貧しく、農作物もほとんど収穫できない不毛の地。

ターラは幼い頃、その美貌から豊臣秀吉の側室として差し出されそうになった経験がある。その出来事をきっかけに庄を飛び出し、豊臣家をはじめ全ての人間を強く怨むようになった。逃げ出す際に助けたのが宗矩で、素足で山道を走っていこうとしたターラに草鞋を与え、見逃した。

一方の宗矩は貧しい故郷を守るため、徳川家康の元で隠密として活動している。

ターラは人間に従う宗矩のことをひどく嫌い、領地を守るため自分を差し出そうとした柳生の庄の人間のことも怨んでいる。

このターラが実に狡猾な女で、鬼としての力も強く執念深い最高の敵キャラだった。

しかも、シリンにとってのアクラムのように心の拠り所すらない。それゆえに人間への憎悪がターラの生き甲斐となっているところがあまりに辛い。

宗矩はそんなターラの姿を見て、自分が彼女を逃したせいで人々が怨霊の被害に遭い、ターラ自身も苦しんでいるのだろうと悔いてしまう。

いざ戦いになっても、宗矩はターラに対して本気が出せない。そんな宗矩に付け入るように容赦なく陥れようとするターラ。

ここの関係性がヤキモキしながらも、最終的に超泣ける終焉を迎える。

ターラって多分、宗矩のことがずっと好きだったんだろうなあ。

好きだったからこそ、憎たらしい人間に尽くしている宗矩のことが許せなかったのだろうと思うとあまりに辛い。

なんだかターラのエピソードが良すぎてターラの話ばかりになってしまった…

 

宗矩は主人公との関係が深まるごとに優しい一面が垣間見え、周囲からの評価も変わる。家康がめっちゃ良い人だった~!南光坊とか出てきたけどアイツなのか…?

糖度も高いしやたら露出スチル(notお色気)が多いのが気になった。

主人公との恋愛も政治的なエピソードも細かく描いた上で、宗矩の心の動きが綿密に書き込まれている。さらにそこにターラの悲壮な話をがっつり組み込んできて、史実の人物もたくさん出てきて、めちゃくちゃ読み応えのあるルートだった!プレイ時間は他とそう変わらないのにすごく長く感じた。

一族と向き合いながらも「自分のために生きる」という点が対の存在である阿国ルートと共通していて良かった。

エンディングに至るまでの話も、宗矩の苦労が報われ、主人公へのひたむきな愛も感じられ、神泉苑で神子が戻ってくるというアレもあり、大変盛り上がる流れだった。

タイトルに書いた「髪のひと筋までも愛しい」という言葉がとてもツボに入った。遙かのエンディングポエム相変わらず最高~!

地の玄武っていつも気合の入ったシナリオをぶち込んでくるイメージだが、今回もそうだった。満足。

遙か7 武蔵ルート感想~恋と剣と仲間

遙かなる時空の中で

天の朱雀・宮本武蔵ルート

 

熱い

 

これに尽きる。

いや、武蔵が暑苦しい男なんだけど、そうじゃなくて。

話の流れがめちゃくちゃ熱い。

遙かってルートで全然毛色が違っていて…今のところ全部見たのは他に長政と阿国なんですが、その3人だけでも全然違う。

長政はザ・ネオロマなロマンとカリスマに溢れたキラキラの宝塚的な王道の話だった。

阿国は逆で、切なくて儚くて……いとしさとせつなさと……儚さと強さのあいだで……という雰囲気の話だった。

それが武蔵ルートは少年漫画みたいな話だった。すげー!

萌えも燃えも感じられる武蔵ルート。

宮本武蔵については例によって全く知らず、俳優の山田裕貴が舞台でやってたな……くらいのものすごい薄い記憶と巌流島のことしか知らなかった。

終わったあとWikipediaできちんと調べたら、父親の新免無二黒田如水に仕えていて武蔵自身も関ヶ原以前に黒田家に仕えていたらしいということがきちんと書かれていた!

宮本武蔵って巌流島で佐々木小次郎と決闘しただけの人というイメージだったのでとてもとても驚きました……

 

遙かの宮本武蔵は天の朱雀らしく、とにかく真っすぐ一直線!主人公のことを姫様と呼び慕い、同じ八葉の長政の忠実な家臣でもある。

幼少期から剣豪である父に剣術を習っており、父を超える日の本一の剣豪になると公言しているものの、手合わせで勝てた試しがなく実力が伴わないことに悩んでいる。ちょっとバカなところもあるけど、そんなとこも好きになっちゃう主人公。

そして武蔵も最初から姫様大好きである。だが武蔵は恋というものを知らないのでこれまた真っすぐに「姫様のことが大好きです!」とか言っちゃう。かわいい。

ルートのフラグが立つと一気に主人公が武蔵を意識し始めるところがかわいい。こういう甘酸っぱいのを待っていたんだよ……期待以上だ……

 

事あるごとに剣の修行に打ち込む武蔵だが、異世界に来てから初めて剣を持った相方の大和にもボロボロに負かされ、悔しくてたまらない。宗矩にアドバイスを求めても、ひたすら剣を握っても思った成果は得られない。そんなとき、町で怨霊から人々を助けている謎の剣士と出会い、弟子入りする――

その師匠からお前の剣には「心」が足りないと言われてしまい、でもその理由が分からず稽古に打ち込むあまりついに倒れてしまう。

武蔵は果たして強くなれるのか?!師匠も怪しい!と思っていたら個別ルート手前で突然修行の旅に行ってきます!と武蔵。

ええー!?と慌てていたら、なんと衣装から袖が無くなって再登場。滝行してた。ちょっと髪も伸びて男前になっている。筋肉もムキムキ。

それにしたって八葉も神子も武蔵に気づかなさすぎじゃない?!気づくでしょ!

幸村と手合わせしたところ、かなり強くなっていた武蔵。大和がちょっと悔しそう。

そして相変わらず姫様のことが大好きな武蔵!それは恋だぞと師匠に指摘され、戸惑う武蔵……お、おう、ついに来たか……

恋に心を奪われるか、恋が力になるかは武蔵次第だという師匠。はあー、好き。

 

しかしこのルートでも平島義近がラスボスになるが、阿国ルート以上に憐れな人だった。人の欲望とか憎悪に関しては容赦ない描写をするネオロマ。平島殿の怨念が詰まったキャラソンが出そうな勢いだ。

最終決戦は師匠(=怨霊となった足利義輝)で実に燃える展開だったが。本当に燃えた。

阿国をやっていて残念だったのがやっぱり八葉が最後に揃わなかったところなのだが、武蔵はしっかりと全員揃ってラスボスに臨めた点が最強で最高の演出だった。

しかも四神コンビでそれぞれ手を組んで、主人公と武蔵の行く手を阻む敵を足止めする……!こんなの好きになるに決まってる。あ~~~さすがに来ないのかな~~~~~と思ってた白虎まで来た~~~~~~~~!武蔵の背を押す長政、めっちゃ良い上司だ。大和から年寄り扱いされる白虎!ヨッ!待ってました!

一番若さが爆発しているふたりを、周りの大人や友達が手助けをする……関ヶ原の合戦真っ最中なのに?!そんなことはどうでもいい、ここは俺に任せて後はお前たちが行け―!って最高でしょ。八葉なんだもん。

最後まで主人公と武蔵の傍にいて、ラスボスの一歩手前で足止めを買って出る大和がまたさらに最高潮に熱い男である。武蔵と大和が打ち解けて「友達」になっていく経過がいとしすぎる。その決定打が、互いに背中を預ける武蔵と大和のスチル。

これだよこれ、私の好きな遙かは!とテンションが上がりまくった。

最初はクール一辺倒で、熱血漢な武蔵のことをバカにしていた大和が、俺に任せて先に行け!なんて熱く宣言したら泣いちゃうよ。泣いちゃった。

そして怨霊と化した師匠の元へ辿り着く武蔵と主人公。

師匠を討つことに葛藤することなく、師匠に感謝しながら龍神の神子に浄化してもらうべきだとスッパリ言い切るところが男前すぎた。師匠も超良い人で、本当に武蔵のためを思って剣を教えていたんだなということが分かる。なんて気持ちのいいボス戦。

最後は満を持して、八葉全員でラスボス戦だ。はあーーーーーー燃え尽きちゃった……だって最高だったんだ……

 

エンディングで武蔵は、現代に帰らなくてはならない主人公に告白をするものの、「日の本一の剣豪になる」という確固たる夢ができたため、現代へ行くこともできないと言い切る。

天の朱雀って武将とかではないけど守らなきゃいけない家族がいたり、仲間の中で何かしらの役目を持っていて、それを捨てるっていうのは実際のところ結構ヘビーな話で。

主人公だって今回は織田の姫とはいえ現代で暮らした時間の方が長く、家族や友人がいるのだ。

ヒノエだと全部手に入れるって言ってアレしたりしたんですけど。現代に戻る・異世界に残るっていうのを交際相手と議論?した話は珍しいのではなかろうか……

最後のスチルは可愛さ全開だった。しかも主人公から抱き着いている。可愛い。いやー良かった。

王道少年漫画的展開に甘酸っぱさをたっぷり詰め込み、恋に悩み剣に励み、楽しい仲間たちに見守られ成長したふたりの素晴らしい物語だった。

遙か7 阿国ルート感想~願いと幸い

遙かなる時空の中で

天の玄武・阿国ルート

 

すっっっっっっごい話だった…

この手のエピソード、再会系って今も通じるのか……再会系って設定的に遙かだと無かったと思うんですが(将臣は違うだろう)いやー上手い。そしてコーエー織田信長大好きだってわかったよ!わかったから!

阿国ルートの前後にやった長政・武蔵ルートとは全く毛色の違う切ないシナリオだった。世を儚むいにしえの天の玄武だった。

正直1周目で阿国の本名が出たときに興味本位でググってしまい、その正体を知ってしまった。それでも個別ルートは十分驚かされたし楽しかった。史実わかんなくてもググるのやめよう!マジで!

普段は凛とした優しくて強いお姉さんとして振舞っている阿国が、本当は過去の辛い経験に囚われ続けているか弱い美丈夫だった…そこまでは普通だが、彼のあまりにあまりな真相には「そうくるかー!」と思わず膝を打った。そうだよね、やっぱ明智と織田の話はコーエー的に外せないんだ。

そう、阿国の正体は謀反人として討たれた明智光秀の息子・光慶で、織田家の娘である主人公とは許嫁で幼い頃に何度も遊んだ経験があった。お互いに好いていて、良い関係を築いていた。

だが本能寺の変により、婚約破棄どころか両家の間には壮絶な因縁が出来てしまった。なお姫(=主人公)は姿を消してしまうし。その後、明智光秀が討たれたのち、父の遺言を受け止め、一時は一族再興のため努力しようとしたこともあったが、今は「阿国」としてかりそめの姿で生きている。「阿国」でいるときは明るく前向きでいられる。

だが燃え盛る坂本城で聞いた父の最期の言葉や、自分を守って犠牲になった家臣たちの姿が毎日のように夢に出て苦しんでいる。

戦が嫌いで、どうして人が死ぬのだろう…と常に悲しんでしまう純粋で脆い心の持ち主。死にかけた小鳥にも心を痛めて泣いてしまうほどに。一族再興を願った父の言葉を叶えようと思っても、心優しい阿国の性分には合わないのだ。

遙かで女装キャラというのが目新しすぎて全く何も想像していなかったし、とても人間的に完成されているキャラクターだったので、まあ何かあるんだろう…????程度に思っていたのが予想を上回るすんごい設定だ。

 

いやしかし、阿国ちゃん、よく泣く!一族の話もあって、3の敦盛を思い出してしまう。世を儚んでいるのは1・2に近いけど。天の玄武は儚い担当だが、阿国ちゃんの儚さったらすごい。あと女装と男装のギャップも良い~美しい。

この阿国ルートの良いところは、そんな泣き虫で弱くて優しい心を持った阿国のことを神子や八葉が絶対に否定しないところだ。あんまり他の八葉は関わってこないのだけど。でも幸村と兼続は良い理解者だったんだなと思う。

強くなれ!とか前向きになれ!なんて言わない。そのまま、阿国が生まれ持った優しさと、そう生きたいと願う気持ちを阿国自身が受け入れ、許すことで彼の真の強さが生まれる。

ひょんなことから再会を果たした実姉の細川ガラシャ石田三成によって人質に取られることを拒み、自害しようとしていることを知った阿国はようやく自分の願いと向き合うようになる。自分の姉として、ガラシャには生き抜いて欲しいと。誰にも死んでほしくない阿国の心からの願いだ。ここは泣いた。よかった……。

遙かはキャラクターのバックグラウンドと現在をしっかり描いた上で、どう現状を打破・成長するか、もしくは自分を許す・受け入れていくことで物語が展開する。それは主人公も同じで、ふたりで前に進んでいこうとすることで未来が見える。

阿国ルートはその過程がとても丁寧に描かれていて、過去を断ち切るのではなく全て受け入れたうえで阿国が望む生き方を手に入れる。明るく自分らしく生きるためなら、本来の姿を偽っても、性別すら偽っても、それで救われるなら全然オッケーじゃん?!という、単純なようですご~~~~く難しくて深い結末を迎える。

最後、エンディングシーンのやりとりで、昼間は阿国という女性の舞い手として振舞いながら、夜は男として生活することを他人からしたらおかしいのだろうと阿国が語る。

だが、主人公は現代ならば現実とSNSで振る舞いが違う人もいるし~なんてことを例えに出す。確かに戦国時代という怒涛の時代を生き抜く男としては特殊かもしれないけど、でも、そんな生き方って今や誰もがやってることなんだ。

それで悪いほうに行ったらもちろんダメだけど、阿国のように舞い手としてたくさんの人々を喜ばせることができて、阿国も生きやすいなら良いじゃん!あ~すごい。納得。

このルートで出てくるワード「願い」と「幸い」は今までの天の玄武に通じるものがある。

まさに阿国が「願い」と「幸い」を手に入れるルートだった。

コンシューマーの乙女ゲーって良い

絶賛遙か7プレイ中である。

つくづく感じるのは、コンシューマーゲーム機でプレイできる乙女ゲーって素晴らしいということだ。

最近、何年前くらいからだろう……うたプリの大ヒットを最後に乙女ゲームの爆発的なヒット作が出ていない。

いや、アレはアニメがきっかけだし、ヒットの規模が違うし、あまり乙女ゲーム要素は関係ないとしても…でも、うたプリには感謝しているのだ。「乙女ゲーってアレでしょ?夢小説みたいなの」という感じのことを、同類と思っていたオタクからも冷たく言われがちだった乙女ゲーが、やっと一段階上の理解を得た気がしたのだ。

実際、身近なオタクがうたプリをきっかけに乙女ゲーにハマっていく経過を見た。乙女ゲーが盛り上がると嬉しいな~と思っていた。

 

ときメモGS2とか遙か3・4とか緋色の欠片、薄桜鬼あたりがビーズログと電撃ガールズスタイルの記事を埋めていた頃は、私もいろんな乙女ゲームに手を出していた。

数年にわたり、VitaminXとか、ディアマイサンとか、三国恋戦記とか、毛色の全く違う乙女ゲームがいろんなメーカーから発売されていた。男性向け大手のダ・カーポシリーズの女性向けなんかもあった。うたプリブロッコリーだ。PCを含め、かなり挑戦的な内容のものもあった。それぞれの売れ行きは一般のゲームと比べるとかなり少ないものだろうが、タイトル数だけは多かった。

私が一番熱中していた時期であるから、思い出補正は多々あると思う。最近は乙女ゲー界隈から離れていたのであまり偉そうなことは言えない。今だって良作はあるし、人気があるタイトルもあるだろう。でも活気がなくなったことは確かだと今のSNSを見て思う。

うたプリのアニメが放送された少しあとが、今も続くソシャゲの一大ブームの始まりと少し被っている気がする。あくまで「気がする」だけなので詳しいことはわからない。ただうたプリにハマった知り合いのオタクがしばらくしてソシャゲにハマっていた覚えがあるだけだ。

それから乙女ゲー的な要素を含むソシャゲが立て続けにヒットして、すっかりコンシューマーゲームが減ってしまった。ユーザーが必ずしも被っているわけではないと思うが。

これはRPGとか他のジャンルでもあることだろう。しかし乙女ゲー界隈、いや、男性向け女性向け問わず、SLG・ADV・ノベルゲー……恋愛ゲーム全般には特に大ダメージを与えたと感じた。

元々ニッチな業界だった乙女ゲーやBLゲー、ギャルゲーは、ゲーム機やパソコンがないと出来なくて、プレイ時間も長い。単に時代に合わないのだろう。他にも色々な理由はあるのだろうが。

私も学生だったのが社会人になり、ゲームに掛けられる時間は減った。それでもネオロマや他の好きなメーカーの新作は地道にプレイしていた。

熱心なファンが多いジャンルでもあり、今なお語り継がれる名作が存在しているのは確かだ。それらのゲームに救われたり、元気を貰ったり、号泣したりした。楽しかった。

それに乙女ゲーだけでなくBL、ギャルゲー問わずこの手のゲームは間口が広くて底も天井も果てしなく「何でもアリ」感がすごいところも魅力なのだ。

超大手ゲームメーカーから同人サークルが出したゲームまでが同じ界隈に入り乱れる。同人ゲームから始まり誰もが知る一大企業にまで登り詰めたメーカーもある。内容も、学園ものから社会人、人外にファンタジーエログロなんでもアリだ。上半身裸の男の体をタッチペンで拭いて……コンシューマーでも色々あった。

 

しかしソシャゲが台頭し、継続的なプレイが求められる独特の様式が全く肌に合わない私は、ゲーム自体から離れてしまった。

ガチャとかイベントとか関係なく、買い切りで全部攻略できるゲームがやりたい…と思ってしまうのだ。

乙女ゲー要素があって人気があるゲームは大体ソシャゲだし、気になる新作もない。色々あって飽きてしまった感があった。

私はBLもギャルゲーも少しだがプレイしていて、好きな作品やメーカーもあった。大手はまだ生き残っているが、大手はそう短期スパンで新作をリリースするものではない。

元々地盤がしっかりしたジャンルではない。今は無きメーカーも多い。

オトメイトアイディアファクトリーは今も頑張っているようだが、一時期はブイブイ言わせていたD3なんかはもうほぼダウンロード専用……それくらい、パッケージ版を発売するというのがリスキーなのだろう。わかる。そりゃそうだ。

ダウンロードのほうが便利だし、実際私もダウンロードを利用しているが、パッケージがあることはやはり大きい。

そんな世知辛い世の中で、遙か7が33,000円もする限定版を含めリリースするのはすごいことだと思う。しかも一番高い箱はもう品切れ状態らしい。私も家電量販店にパッケージ版を買いに行ったら全て品切れだったのでダウンロードした。箱は収納がないので我慢している。

コーエーテクモという大きな会社からリリースされるのだから当然かもしれない。でもすごい。5や6が発売された頃ともかなり状況が変わっているはずなのに、初動が1・4万を超えたというのもすごい。

20年かけてグラフィックやボイスなどのクオリティを上げながらもシリーズとしての系譜を保ち、ナンバリングタイトルだけでも7作もリリースしてきた乙女ゲームというニッチな業界のゲーム。これだけでもすごいことだ。

やっぱり乙女ゲー、ネオロマって良いなと思った。

売上を見たときは今もプレイしてる人がこんなにいるんだ!と感動した。本当に良かった。なんだか嬉しくなった。

ルビーパーティーの方々、これからも頑張ってください。そして遙か7を発売してくれて、本当にありがとうございますと伝えたい。

別にソシャゲにどうこう言う気はない。流行っているものがあるのは知らなくてもなんだか楽しい。

でも、しっかりとキャラクターの物語に向き合うことができるコンシューマーの乙女ゲームは、やはり私に合っていると感じた。伏線が他のルートで回収されたり、全て攻略しないと真相が分からなかったり。

この順番で攻略したほうが良い!とか、このキャラは全員終わらないと攻略できない!とか、みんなで情報を交換するのも楽しい。

遙か7も楽しい。久しぶりのネオロマだったが、やっぱり楽しい。

いやでも追加ディスクは欲しい!長政ともっとあれこれしたいよ~

そのためにも、遙か7が、遙かシリーズが盛り上がりますように。

そして乙女ゲーム、女性向け・男性向けゲーム界隈がまた盛り上がりますように!

遙か7 長政ルート感想~ふわラテと馬と七つの童女

遙かなる時空の中で

天の白虎・黒田長政ルート

 

協賛:ネスレルート

良いところはたくさんあったのだが、最初から最後まで「ふわラテ」に集中力を持っていかれてしまう。

共通部分では単なるコーヒー好きで、さすが~大人の男ね~と思う程度だったのに、個別ルートのフラグが立った途端、突如として登場する「ふわラテ」の圧倒的な存在感。

「ふわラテ」というフラペチーノとかタピオカとか、流行してる系ドリンクのふわふわしたラテの一般名称なのか?と調べたら、コーヒーで有名な「ネスレ」の商品名だった。がっつりコラボまでしていた。

なので「ふわラテ」を飲む長政の麗しいスチルまでしっかり用意されている始末だ。

主人公とともに現代の家で「ふわラテ」を飲むイベントは、さながらお昼の番組の途中に挟まるCMのようだった。番組のセットと出演者を使って洗剤とかの宣伝をするやつ。

右上に「これはCMです」というテロップが出ている。長政の右上に。

しっかり長政による味の説明があり、スティックタイプで簡単に作れてしまうという「ふわラテ」を作った神子による感想も入り、情報が短い中に集約されている。宣伝効果ばっちりである。

これ、他の八葉もそうなの? みんな「ふわラテ」なの?

長政だけだとしたら、共通部分でさらっと流すくらいの挟み方をしてほしかった。そのほうがいいじゃん。みんな「ふわラテ」大好き八葉で。スポンサー絡みなようなので、色々難しいのだろうが…

その後も事あるごとに登場する「ふわラテ」。怪しい南蛮商人・カピタンがどうでもよくなるくらい「ふわラテ」のことを考えてしまう。

終盤、ようやく「ふわラテ」の呪縛から解き放たれた…やっとエンディング…一体どんな甘い内容なんだ…と感慨深くなっていると、お、おっ、お前ーーーー!またかーーーーー!なんとエンディングスチルにまで「ふわラテ」が登場する。

あまりの事態に何も信じられず、一度Switchをスリープにして深呼吸した。ネスレコーエーに一体何があったというのだ。(スポンサーです。ありがとうございます)

いや、カップしか見えないから「ふわラテ」じゃないかもしれない。関ヶ原の合戦以降一年以上分のストックを現代から持ってきたとは考え難い。一日に何杯か飲んでいるようだし。でもきっと「ふわラテ」なんだろうな。だって長政様だもの。「ふわラテ」くらい戦国時代に手配するよ。

ふたりの愛の証と言わんばかりの存在感。すごいや。ここまできたらもうあきらめた。

「ふわラテ」買ってこよう。

 

 

そんなふわふわ長政ルートだが、話はとても硬派で王道だった。

強くて気高い男の話。 

高貴で高尚で気高くて誇り高くて偉そうで策士な立花慎之介、みんな好きでしょ!というルビーパーティーの気概が伝わってくる。

ヒノエのときから1つはこういうルートが設けられるようになった気がする。カウンセリング恋愛じゃないやつ。爽快感があって良い。

長政は気高さが突き抜けている。弱みなんてない。見せないのではなく、はなから存在しない。

武将として、大名として、はっきりとしたビジョンを持って生きている、まっすぐで気持ちのいい男だ。

だからこそ、自らが仕える主君である神子に対して、戦う意味や覚悟を訊ねてくる。

そして認められてしまえば、絶対的信頼を寄せてくれる。頼もしい。

しかし、神子としての力を認めても、それ以外の場面では神子のことを子ども扱いする長政。

まるで七つの童女だな…と事あるごとに言ってくる。しつこい。最初こそ本気で言っていた長政だが、次第にその言葉は、芽生えつつある信頼以上の感情の裏返しになっていく。かわいい。

神子に惹かれる長政はウジウジするのかと思いきや、ハッキリと恋愛はできないと言い切る。政略結婚しても長政にとって有利な相手ではないし。

長政にとって「恋」は必要なく、黒田家のための政略結婚しか意味がない。

だがそれを悲観するわけでもなく、家柄に縛られていることに苦しんでいる様子もない。だが、色々なことを諦めてきた人なのだろうな…ということが伺い知れる。

でもやっぱり好き…こんな世の中じゃなかったら、馬に乗って旅だって出来たのに、と呟く長政。せつない。

神子も同じ気持ちで、ずっと一緒にいたいと願うが長政にあしらわれてしまう。

 

長政のお膝元、豊前で怨霊を操る南蛮商人・カピタンの動向を探っていた神子と八葉たちだが、ついに大きな合戦へ向けて緊張感が高まる。そして織田家石田三成側に就くことが決まり、ついにふたりは離れ離れに。

最後の日、一人長政の元に残った神子は何度か遠乗りに出掛けたように長政の馬で送り届けてもらう。

初めて馬に乗ったときは長政の背中に捕まることに必死だったのに、それがドキドキに変わり、最後は離れたくないと思ってしまう神子が切ない。

長政はそんな神子の気持ちを知りながら、厳しい言葉をかける。つらい。

ここでようやく初めて抱きしめられるという密着度の高いスチルが表示されるのがずるい。悲しくなる。

 

そしてついに開戦――神子が身を寄せていた岐阜城にも敵の軍勢が押し寄せ、その中には黒田の旗もあった。つらすぎる。

一体どうなるのか…とハラハラしていると、岐阜城主の秀信と龍神の神子一行に黒田軍から呼び出しがかかる。

黒田の陣中には、当然長政の姿。

本来なら降伏とともに城主である秀信が自刃すべきところだが、城を明け渡せばそれ以上の介入はしないという長政。後の処遇に関しても、便宜をはかるという。

その代わり、龍神の神子を差し出せと条件を持ち掛ける。

うおおおおお きた きた! 絶対そう来ると思っていたが盛り上がる。

肩に担いで神子を浚う長政。今までとは何かが違う。ただ強く、孤高の人だけではなくなった。この時の神子の顔がめちゃくちゃ可愛い。百万点。

 

その後、戦で功績をあげた褒美として、神子を家康の養子にしてもらって、ついでに嫁にする流れは4のアシュヴィンを彷彿とさせる強引さだった。(史実でも家康公の養女を正室にしているとのこと)

結婚とかもうそれ激甘デレデレEDでは?!もしかして結婚式なのか?!それはやばい!八葉みんな来たりして…と勝手にめちゃくちゃ期待したら意外と…あっさり…ふわラテ飲んでた…

期待しすぎた自覚はあるが、関ヶ原の前に別れるあたりで睦言を囁かれるイベントがもうひとつくらい欲しかった。コーヒーの話のほうが多い。私の頭の中は「ふわラテ」一色だ。

藤の花のイベントとか、鏡の縁結び守とか、細かいエピソードが愛らしくほほえましくポイントが高い。

あと肩に担がれたり抱き締められたりの定番のスチルや、温泉に入るやたらセクシーなポージングの長政ソロスチルがあったり、スチルのラインナップは満足感が高い。

あの風呂の入り方はなんだ。足から肩までしっかり浸かって温まりなさいよ。ネオロマにしてはけっこうギリギリショットだ。

温泉であやめとガールズトークしている神子は可愛かった。盛り上がる女湯へ、いきなり衝立の向こうから話しかけてくる長政。良い筋肉だった。水野十子先生は男をがっちり体型で描いてくださるのでありがたいことこの上ない。

 

総じて長政がかっこよく、切ないけど爽快なストーリーだった。

関ヶ原の合戦において徳川軍での一番の功労者だそうで、だからこそこの圧倒的勝者ルートなのだろう。

戦メインの派手な流れだったので、下手に糖度が高かったり、派手な結婚式だったりせず、ふたりだけでコーヒーを飲む日常がエンディングだったのも対照的でこれはこれで良いのかもしれない。でも「ふわラテ」が最後までちらついて集中できなかった…。

追加ディスクがあるなら、もうちょっと糖度高めなイベントもありませんか、コーエー…!

遙か7 1周目の感想

5風花記以降しばらく離れていた遙かシリーズの新作が発売された。
発表時から、コーエーお家芸・戦国時代がついに遙かのモチーフになるということで軽~くチェックしていた。
だが、あまり好みのビジュアルのキャラクターがいなかったので、第一報ではどうにもピンとこなかった。
そのうえ、戦国時代は全く触れてこなかったので、真田幸村直江兼続は無双好きの同級生がなんか言ってたやつ…くらいしかわからなかった。


3の後、4発表までずっと――その後も毎度毎度、次は戦国では?と言われ続けたもののなぜか手を付けられずにいた戦国時代。
史実ファンも多いし、実在人物には事欠かないし、何よりコーエーなのに、なぜ?と思っていた人は多いはず。
6で時代的にも下るところまで下ってしまった感があり、さらには戦国武将で一番の有名どころ「織田信長」や「明智光秀」が攻略対象となった「下天の華」の存在もあって、もう「遙か」で戦国時代は扱わないのでは…?と思われ何年も経ったタイミングでの戦国時代。
満を持して感はすごい。なんといっても「信長の野望」のコーエーだし。
遙か20周年記念作品に戦国時代を持ってくるなんて、この時を待っていたと言わんばかりだ。
だが私は発売日になってもプレイするか否か猛烈に悩んでいた。
やはり戦国時代に明るくないことと、キャラクターの見た目と性格にピンとこなかったからだ。ネオロマからもずいぶんと離れていたし。


それがプレイするに至ったのは、Twitterで流れてきた感想である。
「1・2を思い出す」とか「コーエーの本気」とか、やたら強気で大袈裟なツイートがたくさん流れてきた。
2が好きで3にもドはまりした私は、猛烈に気になった……そして運良くSwitchを購入できてしまったこともあり、少々遅れて7をプレイし始めた。


ちなみに5までは履修済みだが、6はほぼ未履修。
前述したように戦国時代は全く知らないことを前提に以下、1周目の共通部分の感想を書き留める。
1周目にエンドを迎えたのは天白虎・長政。
ネタバレはあまりしていないと思う。
長政ルートについては別記事にて。



まずキャラクターについて。
例によって普通の女子高生のヒロイン、天野七緒
だが神社の娘とか薙刀部とかそれっぽい設定が多い。望美ってすごいよね……
しかしその正体は信長の娘で、幼いころ、白龍の逆鱗を使って本能寺の変から逃れ、現代まで飛ばされた過去を持つ。
そのとき保護したのが星の一族の血を引く五月の両親で、戦国時代の記憶を封印され現代人として、五月の妹として生きてきた。
信長の娘ってことは勝ち気だったり勇ましかったりするのかな……できれば可愛い子が良いんだけど……と不安に思っていたが、選択肢はいつも通りの神子だった。
織田信長は完全に過去の人になっているし、行く先々で偉い人に「信長の娘!?実は小さい頃会ったことあるよ~覚えてる~?」と歓迎される程度だったので、一見トンチキ設定だがあまり気にならなかった。
しかし織田家は存在しているので、三成につくか家康につくか……というところなどでは、織田家の動きも関係してくる。
父や兄との切ないエピソードは効果的だったし、下野紘演じる主人公の甥っ子・織田秀信は可愛い。
あと龍神の神子兼織田信長の娘なので、周りの名だたる武将たちに負けず劣らず動きやすい。お城とかも入れちゃう。すごい。よく考えたなこの設定。
しかし、ここまでして信長を打ち出したいのかコーエーテクモゲームス……信長最推しコーエーテクモゲームス……


続いて八葉。

まず現代組。なんか遙か4を思い出してしまう。

地青龍・天野五月
過保護にしてもこういうタイプの優男は遙かの中では珍しいのでは?
オレンジ髪の地青龍が好きな私だが、あまり心が動かないのはオラオラしてないからだろう……あと闇がヤバそうな立ち絵がある……
過保護も過保護で過保護すぎる。お兄ちゃん。兄貴とか兄上とかじゃなくお兄ちゃん。過保護だが、3の譲とも違う。お兄ちゃん。
過保護すぎて個別ルートに入るのが不安である。何が起きるのだろう。
そして武闘派枠だった(6は多分そうじゃないと思う)地青龍がなんとなんと星の一族で術者枠!
とても新鮮な気分だった。現代人なのに有能すぎるし、皆からめちゃくちゃ頼りにされている。
現代のツールを持ち込みすぎじゃないか?


地朱雀・佐々木大和
同級生とか気だるげとか、どうしても最初は4の那岐っぽいなと思ってしまうが、実際に話を進めていくとかなり違う。
めんどくさがりだが、案外ヤンチャな現代っ子。若い~!ってかんじがする。あと、言うことが面白い。突っ込みが的確。いつの時代の八葉も、突っ込み役は苦労人である。
秒でとか推しとかやたら最近っぽい言葉を使う。
熱血な相方・武蔵と対照的でクールだが、言うことはしっかり言う。
今回は朱雀組が喧嘩しつつも仲良し!ダチ!という感じで微笑ましい。
阿国ちゃん」を応援するためにわざわざうちわと手ぬぐいを用意してくるあたり、趣味はしっかり楽しむタイプらしい。かわいい。
主人公のことはちゃんと大切に思っているが、過干渉ではない。どんなルートになるのか楽しみである。


現地組、天青龍・真田幸村
見た目と雰囲気で3の九郎がよぎるのだが、しっかり天青龍だった。
忠誠心・武士道・神子への絶対的信頼……天の青龍だ、これは、まごうことなく天の青龍なのだ。
とても前向きでコミュニケーション能力の高い頼久という感じ。
青龍が全然喧嘩しなくてむしろ大人のコミュニケーションを取っていて驚いた。いや普通そうだよ。
めちゃくちゃ良い人で優しくて、神子のことをまっすぐに信じてくれている。
髪の毛以外何もかも全てが真っ直ぐすぎて危うさすら覚えるが、どう転ぶのか。
史実の真田幸村がどうなるのか知らないので、このまま何も知らずにルートに入りたい。


天朱雀・宮本武蔵
これは古きよき天朱雀!という無邪気さと熱さを持ち合わせている。
そして、天白虎・黒田長政の部下なので、とてもしっかりしている。
明るく礼儀正しく、神子にも優しく接してくれる。
まだ若く、剣の腕を磨いて日の本一になりたい!と言ってはいるものの実力が伴っていない。
がむしゃらに強くなろうとするが、なかなか上手くいかず思い悩んでいる。
この青くさいかんじがたまらない。まぶしい。
真っ直ぐで純粋で優しくてかわいい。本当にラブリーな存在である。
神子が「好き」と言っても全然ピンときていない天然ぶりがもうまぶしすぎる。
長政と同時進行していたので、次は彼のルートに入る予定である。
天朱雀は毎回好きだし、長政の部下とはいえ最前線に立つわけでもなさそうなので、一体どんな話になるのか楽しみだ。


天白虎・黒田長政
も~~~全然ノーマークだったのにうっかり一番最初に個別ルートへ入ってしまった。
詳しくは別でするが、いや、これはずるい。
気位が高く、豪胆で策士。豊前の偉い人。こんなかんじ。
決して神子を見下すわけではないが、たびたび試すようなことを言ってくる。
なぜ戦うのか?神子としての務めは何か?みたいなことを聞いて、ちょっと小バカにしてくる。長政からすると神子は七歳の女児らしい。好きな子からかうタイプだ!
天白虎らしく、家に縛られ、真面目で堅物っぽいところもありつつ、冗談を言う余裕もある。高圧的。
相方・直江兼続とは本来敵対関係だが、八葉であるうちはそれなりに仲良くしている。本人たちも自覚していて、こんな世の中じゃなかったら…と語り合う姿はちょっと切ない。


地白虎・直江兼続
最初井上和彦が喋ってるかと思った!!!!!
めちゃくちゃ良い声……そしてゆる~くまったりのんびりしていながら、大人の風格と色気が漂っているところがこれまた猛烈に地白虎。
ちゃんと話してくれているようで、心の内は見せない。優しいようで、心の内は見せない……
1・2だと相方が結構年下だったのでからかったりする場面もあったが、長政とは対等に認めあっている関係で良い。
ほとんどイベントを起こしていないので未知だが、時折ちらつく冷酷そうな一面がヒリヒリする。


天玄武・阿国
中性的なキャラクターがわりと好きなので、わりと好きである。
男の姿はとっても麗しい。美丈夫。
中の人の声質を最大限に生かしたキャラクターだ。めちゃくちゃ合っている。
これまた神子に優しくしてくれて、かつ、芯の通った強い人という印象。
だが、素性は知れない。
八葉に元々の顔見知りが多く、揉めたり気まずい雰囲気を出すと喝を入れてくれる。
まとめ役でなんだか達観しているところが気がかりだ。
出家しがちだった天玄武と同じく、何やら生家を捨てたらしいワケアリ感漂うお姉さま(仮)である。
個別ルートがどう転ぶのか全く予想がつかない第一位なので、楽しみだ。


地玄武・柳生宗矩
5の高杉タイプかと思ったら泰明・泰継だった。
厳しくて怖い人なのか?と思うとめちゃくちゃ優しい。地玄武だ。
いや、系譜は確かに泰明と泰継なんだ……感情が表に出ないというより欠落してそうなタイプ。
最初狙っていたのだが、軟膏をくれたとき遠慮したら恋愛進行不可になった。
まさかそんなとこで不可になると思わなかったのでセーブもしていなかった。パイナップル以来の衝撃だった。
優しさをきちんと受け取らないと、ショック受けちゃうんだよね……かわいかった……不可になったけど……
遠縁だが鬼の一族の血を引いているという設定。そして阿国とは同じ足利学校の出身で学友。
排他的ではなくわりと誰とも仲良くやっていけそうなかんじで意外だった。
軟膏貰って早くルート入りたい。


まだ1周目で長政ルートを終えたのみだが、全体的に楽しめている。
八葉のキャラクターはやはり個性的で、魅力も全く異なる。
敵対する勢力に属していても、3のように不在になる八葉が極力少なく作られているのが好印象。
やはり全員揃うと画面的にもシナリオ的にも面白いし。
八葉たちは、公的な立場と八葉の仕事を割りきり、わりとあっさり神子に仕えてくれる。
最初はめちゃくちゃ嫌がられたが。今後もめっちゃ嫌がられるのかとハラハラした。そうでもなかった。
今回の龍神は福利厚生がしっかりしている。
そして神子がそれ相応の働きをすれば手厚い信頼を寄せてくれ、サポート体制が磐石だ。
懐かしさを覚える、幼い姫の星の一族がいたり、セクシーな女性の鬼の一族・ターラも登場する。
キャラクターの性格や考え方も1・2を彷彿とさせる瞬間があり、まったく新しいテイストの中に1・2へのリスペクトのようなものを感じた。
遙か7は令和にアップデートされたネオロマンスだという感想をよく見かけたのはこういうポイントなのだろうか。
話の流れは、八葉に信頼されるのが早いな~と感じる以外は分かりやすく丁寧である。
信頼されるのは早いに越したことはない。
どの武将が何者でどっち派みたいなことも軽く説明してくれ、かつ物語の理解度にはあまり関係してこない。わかりやすい。
メインストーリーが長く、恋愛イベントは少々あっさり気味だろうか。
かなり同時進行できるうえ個別ルートもあるしこんなものなのだろうが、3ほどこの人を狙うために頑張る!という感じはない。
戦闘だけが、いまいち慣れない。半マニュアルみたいなのがちょっと気持ち悪い。
あと章選択はなく、フラグやステータスの引き継ぎができないらしいのが不便である。
絆はどんどん上がるし、普通に戦闘をこなしていればレベリングの必要性は感じられなかった。
次からは極力同時進行させようと思う。